ヘリコバクター・ピロリ感染症
ヘリコバクター・ピロリ感染症とは、ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)という細菌が胃の粘膜に感染した状態です。胃の中は強酸性ですが、ピロリ菌はウレアーゼという酵素で胃酸を中和しながら生きのびることができます。
ピロリ菌は慢性胃炎(萎縮性胃炎)を引き起こしますが、この時点ではほとんど症状はありません。しかし胃・十二指腸潰瘍を起こすと腹痛などがあらわれ、将来的には胃がんが発生するおそれもあります。胃透視(バリウムを飲む検査)などで慢性胃炎が疑われた場合には、胃内視鏡検査(胃カメラ)で診断を明らかにし、ピロリ菌の有無を調べておくのがおすすめです。
ピロリ菌は内服治療(3種類のお薬を7日間飲みます)によりほぼ退治可能です。ピロリ菌を除菌すると、胃がんの発生は1/3~1/6に減少しますがゼロにはなりません。そのためピロリ菌除菌後も、年1回の胃カメラを受けることが推奨されています。
万一、ピロリ菌を除菌した後に胃がんが発生しても、年1回の胃カメラを受けていれば早期胃がんの段階で見つかることが多く、体に負担の少ない小さな治療で治ります。